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京税協ニュース  

平成13年1月25日 第92号

No.1
新年のごあいさつ
新春講演会

No.2へ

組合の動き
資産税に関する実務研修会

No.3へ
京都市交通のあゆみ
 

No.4へ
21世紀記念エッセイ
有田徳五郎先生〜石原 豊先生

No.5へ

21世紀記念エッセイ
木村祐一先生〜嶋谷俊子先生

No.6へ
21世紀記念エッセイ
田中美代子先生〜西 幸三先生

No.7へ
全国統一キャンペーン表彰式
ソフトボール大会

No.8へ
ふれあい美術館

新 年のごあいさつ     理 事 長 上 田  寛

 新世紀幕開けの新年、 明けましておめでとう存じます。
 組合員諸先生には、 ご家族おそろいでつつがなく、 意義深い新年をお迎えなさいましたこととお祝い申し上げます。


 さて年あけから、 株安、 円安と経済は不安を抱えての出発となりました。 早期の回復は望めないにしても、 これ以上、 中小企業が苦境に追い込まれないよう祈るばかりです。
 

日頃は組合の運営に格別のご協力を賜わり有難うございます。 お陰様で、 予算を相当厳しく見積もった関係から、 現段階では収入は予算を達成し、 したがって事業は計画通り実施されております。 唯、 ここにきて保険部門に陰りが出はじめ、 今後の推移が気に掛かるところで、 組合員各位の事業への一層のご協力をお願い申し上げます。


 ところで、 昨年末、 拾万円を超える出資の先生方に、 拾万円に出資を統一することにつき、 ご協力をお願い申し上げたところ事情ご賢察下さいまして、 ご承認賜わり誠に有難うございました。 厚く御礼申し上げます。 現在順次手続をさせていただいております。


 顧みますと、 昭和47年設立当初は予定通り出資が集まらず、 広瀬理事長をヘッドに組合役員は勿論、 税理士会府下全域の各部会長、 部会役員の全員でもって、 出資増強のプロジェクトチームを編成し、 京都府下一円の各部会を通じ、 全会員に対し出資増強を個別にお願いした時期がありました。


 設立当初の申し合わせの、1人拾万円の出資では資金需要に追いつかず、 役職者を中心に百万円を超える先生方を含め多数の先生方から拾万円を超える多額の出資を仰ぎ、 その結果、 会館の建設、 御前通りに面する土地の取得、 架橋工事、 会館敷地の購入等の多額の資金需要の大半が賄えることとなり、 今日、 完備した会館を組合財産として所有するに到りました。
 正に、 組合精神の顕現された大事業でありました。
 先達の組合員諸先生の情熱と真摯なご努力に対し満腔の謝意を捧げるのであります。


 組合支所設置については、 昨年の総会に於てご承認賜わり、 その後正副理事長会、 関係する各委員会に於て細部の詰を行ない、 愈々本年4月1日より府下税理士会各支部の地域に開設させていただきます。 軌道に乗るまでは各地域の組合員先生には、 色々とご苦労をお掛けいたしますが、 組合員の為の組合として新世紀に大きく羽ばたく為の、 一つの大きな布石と捉えていただき、 一層の組織強化と組合事業の活性化に強力なご支援とご協力を賜わりますよう、 お願い申し上げ、 年頭のご挨拶といたします。


京都税理士協同組合
第 29 回

通常総会

平成13年7月27日(金)
京都ホテル


京都市中京区河原町御池


多数のご参加をお願いします。
(議事を円滑にするためにも議決権行使書の提出をお願いします。)



新春講演会 
『税理士としてあなたならどうする?』

−関与先が民事再生法の申請をした場合と受けた場合のそれぞれの対応−
                            弁護士 豊浦伸隆 先生

 新年明けましておめでとうございます。
 本日は、 民事再生法の概要と、 税理士の先生方がどの様な点で民事再生法に関わって行く事になるのかを中心にお話をさせていただきます。


1、 民事再生法の概要


 民事再生法は、 平成12年の4月に施行されました。 これに伴い、 和議法は廃止されました。 民事再生法は、 和議法に代わる新たな法制度として登場したものです。 和議法は大変古い法律で、 大きな欠陥がありこれを改善しようとするところに民事再生法の特徴があります。 和議法の欠点は、 裁判所で和議が成立しても8〜9割カットされた債権の残り1〜2割の債権について支払が強制できない点であります。 我々が、 和議法を詐欺法と揶揄するのはこの点であり、 民事再生法が出来た大きな理由の1つであります。


 バブル崩壊後の倒産事件の増加により、 倒産法全体を見直す作業の一環として民事再生が制定された側面があり、 又、 現在破産法の改定作業が法務省で進められております。
 次に民事再生と破産の違いです。 民事再生は、 法的手続に則って事業の再生を図ろうとするもので、 いわゆる 「再建型」 の倒産手続です。 この点で、 民事再生は破産や特別清算のような 「清算型」 の倒産手続とは異なります。
 次に、 民事再生と会社更生の違いですが、 民事再生と会社更生はおなじ 「再建型」 の倒産法上の手続でどちらも会社をもう一度立ち直らせるという制度です。 例えば三田工業や村本建設は、 会社更生の手続を取った会社です。 では、 民事再生との違いをひとことで言えばどうなるのかと言うと、 旧経営陣が手続の主導権を握る事が出来るかどうかです。 民事再生の場合は、 9割以上の場合が従前の経営陣が再生計画案等の手続を自ら行い会社を再生する事ができます。


2、 民事再生法の手続


 民事再生手続のスケジュールの一例をあげると次のようになります。 裁判所では、 申立から再生計画案の決議迄を、 概ね半年程度と見ているようです。


2月 1日  [債務者] 再生手続開始申立
2月 8日 監督命令発令・手続開始決定
3月 1日  [債務者] 債権者説明会開催
3月15日  [債務者] 再生債務者報告書等提出
同   日 債権届出期限
4月 7日  [債務者] 認否書提出期限 
5月14日 一般債権調査期間 (9月28日まで)
6月21日  [債務者] 再生計画案提出期限
7月21日 監督委員による報告書提出期限
7月22日 決議のための債権者集会召集決定
8月24日 債権者集会期日・認可決定
9月10日 官報公告掲載
9月24日 認可決定確定
以後3年間監督委員による履行監督
      ※ [債務者] は、 手続申立をした再生債務者が行うべき事項を意味します。


 再生手続開始の申立がなされてから直後に保全処分が発令されます。 これは再生手続が実際に開始されるまでは、 一定の期間が必要です。 その間に債権者による権利行使等により、 再生債務者の財産が散逸すると、 効果的な再生の妨げとなり、 これを防止する為各種の保全措置を設けている訳です。


 裁判所から再生手続開始決定が出されると、 手続開始前迄に再生債務者に対して債権を有していた者 (再生債権者) は、 通常通り弁済を受ける事は出来なくなります。 再生債権者は、 再生計画の決定に基づいてしか弁済を受ける事は出来ません。


 次に、 再生計画案においてどの様な事項が記載されるかです。 これには再生債権につき元本・利息の何%の免除を受けるのか、 支払時期、 支払回数、 支払方法等の条項を定めなければなりません。 この権利変更の内容は、 大口債権者には弁済率を低くし、 少額債権者には相対的に弁済率を高くするという、 いわゆるスライド方式の再生計画案をたてる事が可能です。


 再生計画案の可決要件については、 債権者集会において出席した議決権者の過半数であって、 議決権総額の2分の1以上を有する議決権者の賛成を得なければなりません。


3、 債務者側から見た場合の民事再生法の留意点


 民事再生手続の申立を行う事ができるのは、 @債務者に破産の原因たる事実の生じるおそれがあることA事業継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済する事が出来ないこと。 この場合、 破産の原因たる事実とは、 支払不能・支払停止・債務超過であり、 必ずしも債務超過や、 支払停止の状態に陥っている必要はありません。 また、 手続の申立要件を満たしていても、 再生手続費用の予納がない場合や計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがない事が明らかである場合は、 裁判所は民事再生の申立てを棄却します。


 再生開始決定が出された後、 再生債務者は直ちに@財産目録・貸借対照表A再生開始手続に至った事情や、 再生債務者の業務及び財産に関する経過及び現状等を記載した報告書を裁判所に提出しなければなりません。 貸借対照表は、 再生債務者に属する一切の財産について手続開始時点での価額を評定したものを作成、 提出します。 この評定は今この財産を処分すればいくらで売れるのか (処分価値) を基準とし、 この作成は通常税理士・公認会計士の先生方に作成して頂く事になります。


4、 債権者側から見た場合の民事再生法の留意点


 再生手続が開始されると、 再生手続開始前の債権 (再生債権) は、 再生手続によらなければ、 弁済を受ける事ができなくなります。 また、 再生債権者が再生手続に参加するためには、 債権届出期間内にその債権の内容等を裁判所に届け出なければなりません。 万一、 債権届出期間内に届けを出さなかった場合、 原則として債権は消滅し (失権)、 再生債務者に請求出来なくなってしまいますので十分注意する必要があります。


 次に、 民事再生手続によって再生計画案を策定している会社から新規取引の申込があった場合の注意点ですが、 その取引に係る売掛債権は再生手続に拘束されず、 弁済を受ける事ができます。 但し、 これらの会社に対しての信用供与は慎重であるべきであり、 原則として現金取引を行うべきであると考えます。 再生債務者の財務状況を詳しく知りたい場合は、 裁判所に行かなくても財産目録・貸借対照表等の書類を主たる営業所等に備え置く事が義務付けられていますので閲覧可能です。


 最後になりますが、 税理士の先生は、 再生手続開始決定後、 貸借対照表の作成という場面で手続に関与される事があろうかと思われます。 この再生計画案による債務免除益が当然発生します。 そこで、 債務免除益に対して税金がいくらかかるのかがその後の再生計画に大きな影響を与えますから、 債務免除益に対する税金を計画案に織り込む事が重要です。
 本日は有難うございました。

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