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  京税協ニュース  

平成13年9月25日 第94号

No.1

第29回通常総会開催
理事長挨拶
記念講演会

No.2へ

支部長就任ご挨拶
故中野一城先生を悼む

No.3へ

写真コンテスト
丹後七姫伝説
役員・委員名簿
新役員ですよろしく

No.4へ

大同生命優績営業社員表彰式
組合の動き
京の文学散歩道


熱田神宮   右京地区 石原 牧

第29回通常総会開催
=全議案を承認可決=

 京都税理士協同組合の第29回通常総会が、 7月27日京都ホテルにおいて開催された。

 大友紀専務理事の司会により、 開会に先だち本年度中にご逝去された組合員の氏名が読み上げられ、

上京地区小山守組合員 (都山流竹琳軒大師範小山菁山) が奏でる尺八の音と共に黙祷を捧げ、 ご冥福を

お祈りした。

 廣瀬伸彦副理事長が開会を宣言し、 上田寛理事長が挨拶を述べた。

 司会者は期末現在の組合員数1,394名、 本人出席者数199名、

議決権行使書による出席者数839名、合計1,038名出席があり

本総会が成立した旨報告された。

 また、 議長の選任を議場に諮ったところ、 司会者一任の声により

平澤政治組合員を指名し議事に入った。

   第1号議案 第29期事業報告及び財務書類承認の件

   第2号議案 第30期事業計画及び収支予算承認の件

   第3号議案 役員任期満了につき改選の件

   第4号議案 借入金最高限度額承認の件

 各議案とも田中守専務理事が提案説明を行い、 1号議案の財務報告と2号議案の収支予算報告を

二股茂財務委員長が、 1号議案の監査報告を石原紹三監事が行った。

 1号議案では中小企業等協同組合法の基本理念に則り、 出資平等の原則に照らして

組合員1名10口10万円に均等化すべく、 これを上廻る組合員に超過分の返還 (減額方式) を求め

ほぼ目的を達成したこと、 また、 昨年からの懸案であった組合組織の強化並びに積極的な事業活動の

展開を図るための支所制度を本年4月1日に実施し、 各地区ごとに支所を開設したことの報告があった。

 2号議案では創立30周年を迎え特別委員会を設置して記念事業を行う報告があった。

 3号議案は定款第30条第6項ただし書の定めによる方法以外の方法 (多数決による方法) により

選任が行われた。

 4号議案は借入金の最高限度額を例年と同額の1億円としたい旨説明があった。

 議案に対して然したる質疑もなく、 4議案とも原案どおり承認可決され、 議長は議事の終了を告げ降壇した。

 引続き司会者から来賓各位の紹介があり、 代表の方々からご祝辞をいただいた。

 最後に林伸三郎副理事長が閉会の辞を述べて総会は無事終了した。

 この後大専務理事司会により懇親会が開催された。 粟田副理事長の挨拶があり、

全国税理士共栄会より芸術文化に貢献のあった地域2団体に、 トリニテーシステム推進協議会より

業務推進に尽力した上京支所に感謝状等の贈呈があり盛大な拍手を浴びた。

 大阪奈良税理士協同組合副理事長亀井常可氏の乾杯の発声により始まった懇親会は

恒例の京税協1泊旅行写真コンテストの表彰等和やかに行われ盛会裡に中締めとなった。



理事長挨拶    理事長  上 田  寛


 私、 再度理事長に選任され大変光栄に存じております。

 浅学非才、 微力ではありますが、 組合発展のため専心務めて参る所存でございます。

各位の温かいご支援ご協力を心からお願い申し上げます。

 組合は、 組合員の相互扶助の精神に基づき、 事業が運営されなければなりません。

組合費を徴収しない組合にあっては、 組合員に必要な事業が活発に展開され、 1人でも多くの組合員が

事業を利用し、 又事業に参加しなければ組合の維持発展を望むことはできません。

 今日まで、 当組合は府下全域にきめ細かく事業を展開するには組織が弱く、 組合事業の一端は

税理士会各支部の組織に委託して実施してきました。 しかし今日の厳しい経済環境の下、

今までの仕様では収入は下降線を辿る他なく、 今こそ、 組織を強化し、 組合の根本理念である

相互扶助の精神を高揚し、1,400名組合員が、 お互いに声を掛け合い、 誘い合い事業への理解を深め、

活性化に努力しなければならないと考えています。

 昨年末、 組合員平等の原則にてらし、 出資金の均一化を実施しました。 4月には組合支所制度を施行し、

府下13税理士会支部地域に支所を立上げました。 これ等は組織強化の一連の施策で、 目的達成のため

組合員各位のご理解ご協力を心からお願いする次第でございます。

 今後の運営方針の基本は、 次の3項目で、 前期の方針を踏襲しています。

 1. 組合員の出資金と出資配当金を保証し、 定款第1条に掲げる目的達成のため、

組合員の理解と協力のもと活発な事業活動を展開する。

 2.協同組合本来の使命を果しながら、 表裏一体関係にある税理士会の発展と税理士制度の

強化拡充に、 応分の寄与をする。

 3. 税経学院は、 組合員、 組合員事務所職員及び中小企業関係者のための研修並びに実務講座を

充実させ、 受講者の専門知識の向上に資すると共に、 学院の維持発展を図る。 以上3項目を3本柱と

して、 これを確り結び付け、 変革の時代に対応できる安定した、 足腰の強い組合組織を構築する必要

があります。

 設立より30年、 歴代の役員委員の運営に対する真摯な努力、 支える組合員各位の理解と協力、

これら要因の相乗により京税協が着実に発展してきたことは否めません。 これが京税協の強みであり、

伝統であります。

 21世紀、 京税協が組合員のための組合として益々発展できますよう、 組合員、 提携企業並びに

関係諸官庁、 諸団体各位のご指導、 ご協力を心からお願い申し上げ挨拶といたします。


京都税理士協同組合
  第29回通常総会記念講演会
近頃考えてい ること
      講師 作家・弁護士
          和久 峻三 先生

 いま私の経歴を紹介していただきましたけれども、よく聞かれるのは、

弁護士しててなんで作家になったのかと、或いは新聞記者になってなんで弁護士になろうとしたのかということも

よく聞かれるんです。 私の場合、 実は小説を書くために弁護士になった訳でして、 こういうことは多分誰もやってない

だろうと思うんですけれども、 そこがまあ私の人柄の変わったところで、 結局私自体が組織の中では働くのがいやだ

と、 それにふさわしくない人間だということをようく自分が自覚したということが基本にある訳ですね。

 新聞社には、 べつに文章を書くのが好きで入った訳じゃないです。 昭和30年というのは大変な就職難の時代で、

縁故がなくても入れるところというと、 新聞社がその可能性があった。 公募したのが中部日本新聞と共同通信と

NHKで、 私は中日に入ったというわけです。

 地方まわりもして、 何年かしてから京都支局へまわされました。 中日は京都に新聞出してないのに支局があるの

は何故かというと、 京都には大事なポストが2つあるんですよ。 ひとつは宗教。 もうひとつは大学です。 大学のポス

トが何故大事かというと、 学生運動があるからなんですね。 ただ私が京都支局へきた時は、 大学紛争というものは

もうほとんどなくなっていた。 だから、 京大はもうたいしたものは出ないから、 おまえ行けと。 ところが大学の記者ク

ラブにいってみると、 京都で中日なんか相手にされません。 無視されて。 だからといって自分の方がゴマすって接

近するということ、 私はしないんですね。 で、 このことが後で大変役に立ったんですが、 他の記者の肝を冷やして

やろうということを考えたんです。 たまたまロシアのスプートニクがあがりまして、 科学記事というものがどんどん

出るようになった。 科学記事というのは今まで出なかったから、 誰も研究室まわったりしないわけですよ。 それを

私はまわりはじめたんです。 すると非常に面白い話があるんですね。 世界の最先端にせまるような研究もあった。

僕はそれに非常に興味を持った。

 私が大学を受験する時は文系も理系もみな同じ試験をしたんで、 文系だから物理やらなくていいとか、 そんなん

じゃなかったんです。 それが科学記事を書く上に大変役に立ちました。

 いろんな研究室をまわると、 先生も新聞記者が来てくれたというので非常に喜んで、 半日ぐらいかけていろんな

話をしてくれるんです。 そういうものが後で小説書いたりする時に非常に役に立ってるんです。 ですからやっぱり

教育というのは文系だから数学やらなくてもいいということは絶対いけないわけで、 全部やったうえで専門課程に

いくようにしなきゃいかんと思います。

 まあそんな訳で取材を始めて、 その記事を本社へ送りますとトップで出るんですよ。 そうすると他の記者達が

あわてふためくというわけです。

 で、 その時に私が何を覚えたかというと、 長い文章を書く事を覚えたんです。 それから科学知識に対して拒否

反応がなくなった。

 小説は、 私は嫌いだったんですよ。 ところがそうやって長い文章を書くのを覚えた頃に、 京都新聞の記者から、

江戸川乱歩が編集してた推理小説ばかりの 「宝石」 という雑誌を貸してもらったんです。 それが非常に面白くて。

おそらく論理的だったから興味を持ったんだと思うんです。 それまでの日本文学が嫌いなのは、 論理性がないか

らだったと思うんですよ。 伝統的な日本文学というのは、 その人達だけで、 それを取り巻く社会というのは書かな

い。 もちろん例外はありますよ。 ただ推理小説は非常に論理的で、 これは面白いと、 僕は興味を持ったんです。

たまたまその時に、 その雑誌の募集する懸賞小説があったんですよ。 それを見て自分でも書けそうな気がして、

それで書いたのがパッと載ったんですよ。 まさか載ると思ってなかった。 それでまあ、 自分の名前で自分の好きな

もん書ける。 それから作家というのは自分で1人でやるもんであって組織の中に入ってる訳じゃない。 これは自分

には1番向いているというふうに考えて、 この道をすすもうと決心したわけです。

 それからが実は大変だったんです。 生活に行き詰まって。 予備校の先生をしてたんです。 家庭教師もしました。

そういうことしながら司法試験の勉強をしたのは何故かっていうと、 小説を書き始めても結局自分の専門領域と

いうもんがないということがよく解ったんです。 そこで、 人間の裏側を見るためにはどういう職業がいいかと考えた

ことがひとつ。 もうひとつは、 私はペリー・メイスンの作品が好きで、 それを書いた人はカードナーっていって、 弁護

士なんです。 僕もこんなものを書いてみたいと思うんだが残念ながら法律のことを知らない。 だからこれは法律家

になるべきではないかと。 それでまあ2年余りの間、 坊主みたいな生活をしてましたけどね。 若い間なら1人だから

いくらでも余裕あるけど、 子供をかかえてね、 生活もあった訳ですから、 こら大変でした。

 それから、 私は司法試験の勉強をした時すでに 「あ、 これは法廷小説にしたらこうなるな」 と、 二重にものを

見てた訳ですね。 それをノートに取ってました。 小説に使うネタにね。 法律というもんは非常に大事やと思うんで

すよ。 だからこれを解りやすいように知らすためには、 法律というものをストーリーにして、 小説に作り上げると

いう事が1番の早道だろうと考えたわけです。 「面白辞典」 も基本は全部判例なんですよ。 それを、 結論がその

判例と同じになるように僕がストーリーを考えてつくったのがこのシリーズなんです。

 でまあ、 私はそういうふうにして今まで来た訳ですが、 政治と経済についてはずっと関心をもっていた。 今は

改革が必要だと言われてますけど、 それはもう前から言われてたことです。 それが 「大変なマイナスダメージが

ありますよ」 ということを小泉純一郎が言ってあれだけの人気が集まるというのは何故かと。 それは、 日本はここ

まで追い込まれたと、 後はもうそれ以外にないんだという気持ちが国民にあると思うんです。 ニューヨークタイムス

やワシントンポストに 「日本という国は追いつめられなきゃ何にも出来ないんだ。 壁際に追いつめられるまでおそら

く解らないだろう」 ということが数年前にしきりに書かれてましたよ。 「日本は規制が多すぎる。 しかし、 その規制の

解除をしようとするとそれを引っ張る政治勢力がある」 ともね。

 改革を妨げてる力、 それは既成の勢力はありますけれども、 それだけじゃなくて民衆の中にもある訳ですね。

日本人の、 日本の歴史を見てみますとね、 新しいことに対して非常に臆病です。 そして壁際に追いつめられなけ

ればやらない。 鎖国というのは日本では伝統的なもんだと私は思います。 最近だってそうでしょ、 外資を入れない

ということも、 鎖国ですよ。 こんなことしてて国が良くなるはずがない。 日本は日本だけで見ていくから、 いつまでた

っても鎖国の心が目を開かない。 ほんとに小泉内閣が不良債権の処理をしだしたら企業倒産が出ます。 そして

銀行自体非常にマイナスになっていく。 そうした場合、 小泉はいったい何を考えているか。 おそらく外資がどんどん

入って来ることを期待してるのではないか。 僕はそれでもいいと思うんですよ。 どんどん外資に買ってもらえばいい

んです。 そして今度は日本が力をつければまた買い戻したらいいんです。 日本の企業だけの力じゃなくてね、

外資が入ってくることによって変えられていくと思うんですよ。 それもね、 壁に突き当たらないとやらない。

 私は、 小泉純一郎が選ばれたということは、 自民党にとってはクーデターだと思うんです。 ただそれが国民全部

の形として出てこなかったということが日本の宿命というか、 日本の政治文化だと思うんですね。 おかしなことやっ

てることは解ってながら、 それが声になって出てこないし動きになって出てこない。 これは革命が起こってもおかし

くないような状況なんですよ。 それがクーデターという形で出てくるという、 これはいかにも日本的なやり方だと思う

んですよ。

 もうひとつ日本の政治と社会にとって特徴的なことは、 危機的状況になった時に民衆の力でそれが動かないと

いうことなんです。 どっからかお墨付きがあったり、 ご聖断がないと動かない。 ご聖断をするのは国民でなかったら

いかんのですよね。 それが出てこない。 解ってるんですよ、 日本人というのは非常に賢明な国民ですからね。 解っ

てんだけど言わない。 誰かやってくれるだろうと。 こういう日本の現状を改めるためには、 アメリカみたいに誰か

最高責任者をつくらないかんのですよ。 そのためには首相公選制っていうのが僕は1番いいと思います。

そりゃ憲法上の問題にいくと、 天皇制の問題なんてこと言いますが、 天皇は象徴なんですから、 これはこのままで

いいわけですよ。 それから議会との関係。 これは、 首相は議会で選ばれるんじゃなくて選挙によって選ばれるわけ

だから議会とは対立する面もありますよ。 それは対立したらいいんで、 対立してディスカッションすればそこに真実

が浮かび上がると。 この精神が民主主義には必要なんです。

 それと、 憲法は改正をしなきゃいけないですよ。 憲法の九条をきちんと解釈すると、 今の自衛隊は憲法に違反

してるんです。 憲法、 つまり物差しね。 そこからはみだしてるわけで、 それを憲法の解釈で有効にしようとしたら

物差しを引き伸ばすわけです。 そしたら何のための物差しだと。 物差し伸び縮み、 つまり権力の乱用をさせない

ために憲法というのはあるわけでね。 それが時代に合わなくなったら改正すんの当たり前ですよ。 憲法改正を

二の足ふむのはね、 ひとつには日本人が臆病だということ。 それだけじゃなくて大事なことは、 どこの政党も、

もし国民投票なんかして自分に都合の悪い結果が出たらいやだからですよ。 日本の革新というのは一皮むけば

保守なんです。 現状維持、 現状維持です。

 ちょうど今、 日本はフランス革命の時と同じような時代だと思うんですよ。 別に、 小泉がナポレオンだとは言わな

いけどもね。

 私の憲法論というのが1番最後になりましたけども、 私は首相公選制というのはずうっと昔から信念として持って

ることです。 だから、 今ひとつの、 そういう方向へ向けるためのチャンスではないかと思います。 我々の、 国民の

意見がそのままストレートに反映されるような政治体制にならなきゃダメだ、 というふうに考えてます。

 ちょっと時間が超過しましたが、 これで失礼します。

トリニテーシステム特別講演会

第1部
法人資産の損失を巡る税務と実務対応
−資産の評価損と企業再編税制の譲渡損益の検討−

第2部
相続対策における不動産売買等の留意点

日 時

  平成13年11月2日(金)

場 所

  京都全日空ホテル
 
     

  
  

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