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新年のごあいさつ 理 事 長 上 田 寛
あけましておめでとうございます。
平成15年の年頭にあたり先生はじめ、 ご家族皆様のご健勝とご多幸を心より祈念申し上げます。
昨年も、 引き続き世界的に政治、 社会、 経済が混迷を続け、 我が国も拉致問題、 出口の見えぬ不況等を抱えての越年でした。
唯、 昨秋、 我々に驚きと同時に喜び、 自信、 元気を与えてくれた、 田中耕一さんの 「ノーベル賞」 受賞は、 日本中を感激させた素晴らしい出来事でした。
ところが早々に 「きな臭いニュース」 が世界を駆け巡り、 世界の人々が等しく平和を享受することが如何に難しいか、 考えさせられる年明けとなりました。
平素、 組合員各位には組合の運営と経営に、 ご理解とご協力をいただき厚く御礼申し上げます。
改正税理士法の施行、 商法改正、 関係諸団体の制度改正、 規制緩和の進行、 高度情報化の急速な進展等から、 税理士の業務環境が今後大きく変化してゆくことは否めません。
これは税理士会と表裏一体関係にある組合も埒外ではありません。
この激しい変化の中、 組合員のための組合として、 堅実な運営と経営を目指すには、 組合員各位の総力を結集して、 諸問題に取組んでゆかなければならないと考えます。
ご苦労をお掛けしますが、 ご理解と、 ご支援ご協力を心からお願い申し上げます。
ところで、 新年に相応しい明るい元気の出る組合事業が始まります。
臨時総会でご承認いただいた税理士会館建設工事の着工です。
税理士の公共的使命と社会的有用性、 そして京都府下税理士集団の力を象徴する様な風格ある税理士会館、 税理士の社会的活動の拠点として、
又組合員、 会員の利便性を第1に、 使い勝手の良い、 利用度が高まる会館等々、 総てを網羅した素晴らしい会館を、 平成16年の春に竣工させるべく、
担当役員委員は重責にたえ一丸となって頑張っています。
経済環境大変厳しい折柄、 組合員各位には今後、 ご無理なお願いをすることも多々あろうかと思いますが、 税理士制度、 税理士会、
組合発展のため、 物心両面にわたり絶大なご支援とご協力を賜わりますよう心からお願い申し上げ、 ご挨拶といたします。
京都税理士協同組合第31回 平成15年7月25日 (金) |
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近畿税理士会京都府支部連合会 平成15年 新春講演会
「−どうなるこれからの日本経済―グローバル化の時代に生きる」
講 師 若林 正人 先生 (キャスター・経済評論家)
「グローバル化と日本」
私は、 あえてみなさんに言いますが、 もっと日本人は現在の生活を 「感じ」 なきゃいけないね。
私はみなさんに魂の底から叫びたいんだけれどもね。
すったもんだはあっても、 現在の日本ほど個人が豊かで、 何でもありの選択の幅が広くて、 便利で、 国民全員の教育水準が均質で同質で、 国民全員の貧富の差の少ない社会って、 世界のどの国にもありませんよ。
世界のどの国の歴史にもありませんでした。
欧米社会というのは、 凄まじい社会でございましてね、 階層社会なんです。
階層、 ヒエラルキーといいまして、 層がね、 あるんですよ。 貧富の差は日本の百倍。
層が問われましてね、 上の奴はいつでも上の層なんです。 下の層の奴はいつでも下の層。
層を飛び越えて結婚もできないんですよ。 欧米社会っていうのはね、 世の中の富の8割までも、 人口にしたら、 わずか5%の人が占領しているのが欧米社会なんですよ。
残りの2割の富を人口にしたら、 ほとんど95%の人が皆で奪い合っているのが欧米社会ですよ。
グローバル化、 国際化なんて名前はいいけど、 欧米化することなんですよ。
そうなったら日本は貧富の差が欧米並になるでしょうな。
日本ほど、 敗者復活、 機会均等が確保されている社会なんて世界にもめずらしい。
「マタイ効果」
マタイ伝の中にね、 「金持ちは益々金持ちになる……」 ってある。 これね 「マタイ効果」 っていうんです。
日本もこれからどんどんね貧富の差が大きくなると同時にね、 要領のいい奴、 腕っ節の強い奴、 資本力のあるところだけがいつも上の層に居るようになるんでしょうな。
グローバル化、 国際化ってね、 本当は怖いことなんですよ。
現在ある日本のシステムは、 私たちの先祖、 先輩が、 気の遠くなるほどの長い歳月をかけて、 ああでもない、 こうでもないと議論しあって、
喧嘩しあって、 揉みに揉んで創り上げた、 生活の知恵の総結集なんですよ。
ドイツの哲学者ヘーゲルはいいこと言ってます。 「存在するものは合理的だ」 何かある仕組みってのはね、 何か理由があるからあるんですよ。
それを皆してぶっ壊して、 学校のグランドのデコボコをローラーで直すように欧米化してね、 私は日本人1億2千万人が幸せになるとは思いません。
この風土、 この食べ物、 この宗教に合った、 この日本人に合ったものが現在この日本にあるんだと……。
私は歳をとったから保守化したわけじゃない。 私は銀行時代、 半分以上、 ヨーロッパにいましたがね、 やっぱり日本人は、
この日本が一番幸せなんです。
「諦 観」
皆さんの業界も今大変だろうと思いますけどね、 皆さん、 なるようにしかならない。
ケセラセラが一番いい。 のほほんと生きるっていうことはね、 すばらしいことなんですよ。
ソーケンハーグっていうドイツの哲学者が何て言ってるか― 「諦観こそが神様が人間に与えたもうた最高の天国である」 日本人は、
この 「諦観」 がなさすぎる。
もっともっとってね、 けしからんけしからん、 ダメなものはダメってね、 これは 「諦観」 とは程遠い開きがある。
これこそね、 今一番必要なこと。 日本人ってのはおかしくなりましたね。
バブルでこうなったら明日は今日よりも当然、 豊かになると思ってね、 こういかないともうダメ。
刺激が刺激を求めていっちゃうんでしょうな。 消費生活も……。
ヨーロッパの中流家庭以下の貧しさ、 質素さは救いが無い。
日本は一番豊かだと思いますよ、 個人は。 日本人は皆、 甘えとタカリが横行しちゃって……もっと現状に対して自信を持つこと、
プライドを持つことから全てが始まる。
「稲作民族」
4世代5世代遡れば、 日本は8割まで稲作民族の出なんです。
ドイツ人とか欧米人は狩猟民族の出、 毎日狩りに行くわけですよ。
狩りに行って獲物が獲れるのは誰だと思いますか。 要領のいい奴、 腕っ節の強い奴、 お金がたくさんあって 「勢子」 を大量に導入できる奴が獲物をいっぱい獲ってこれるんですよ。
生活の糧を得ることにまで欧米では基本的人権なんか問題じゃないぐらい差がある。
稲作民族っていうのは、 生活の糧を得る段階であまり差がつかない。
人の2倍も3倍も収穫をあげるなんてことはできない。 稲作民族っていうのは皆と同じようにやっていくこと。
田植えって昔は皆手作業ですからね、 横並びで、 一人でも落後するような者が隣にいたら、 その人を横から手伝ったんですよ。
「護送船団方式」 ってね、 日本の美徳だったんですよ。
一人だけ突出して、 一人だけ先に行っちゃうと水が濁って他の人が腕が見えなくなっちゃって、 えらい迷惑する。
「皆で横並びで行こう」 これね、 皆と同じようにやっていると、 皆が豊作だったら自分も同じように豊作、 皆が不作だったら自分も同じように不作、
心の諦めがつきやすい。
これが一人だけ突出したことをして多収穫をあげると、 「隣の家に蔵が建つと、 自分には腹がたつ……」 これね、 稲作民族の独特の文化なんですよ。
欧米は違うんですよ。 基本的人権なんて関係ない。 獲物を獲れるか獲れないかで決まっちゃう。
獲物を獲れない人はどうするか……。 獲物を獲ってきた人に、 媚びて媚びて媚びまくって、 その人からおこぼれを頂戴して生活の糧を得てたっていうのは、
欧米の長い文化なんです。
私はね、 日本人に生まれて良かったと思います。 ことごと然様に東は東、 西は西なんですよ。
共に出会わない。 向こうには向こうの伝統・文化・美徳がある。 日本には日本の伝統・文化・美徳があるんですよ。
「適者生存」
欧米の政治・経済・社会・一般にマグマのごとく流れている思想は、 日本人からみると惨たらしいまでの合理主義。
ウェットな日本人からみますと、 あまりにもドライすぎる思想、 どういう思想かといいますと 「適者生存」。
適する者だけが生き長らえる権利がある。 適さない者は、 この世を去っていきなさい……それが世の中の為になる。
これね、 考えられないぐらい徹底してるんですよ、 欧米には……。 適者生存、 自然淘汰……自然に滅んでいく者は滅んでいきなさい、
淘汰されていきなさい、 それが世の中の為なんだ。
これね、 日本人には考えられない思想です。 だけどこれから欧米化、 グローバル化ということになると、 こういう人が日本に入って来るっていうことですよ。
「神の見えざる手」 っていうことが欧米ではしょっちゅうあります。 これはね、 他の人が助けちゃいけないんです。
自力で生き長らえられない奴は神の御心がなかった、 それは、 そのままこの世を去って行きなさい……これですからね。
国際化、 グローバル化すれば、 すべての今の問題点で日本の伝統をぶっ壊して欧米化したことによって生まれてくるものだと思いますよ。
日本のかつての美徳はどこいっちゃった。 さらにそれを欧米化することによって解決しようということになったら、 これは悲惨。
欧米化して一番困ることは、 なんでもかんでも訴訟になること。
親しい間柄でも、 何でもかんでも訴訟になる。
日本には伝統的な美徳があった。 阿吽の呼吸だとか義理人情だとか、 そういったかつての美徳が何でもかんでも訴訟になってくる……これはね、
絶対、 弱者のためになりません。
なぜかというと、 欧米で何でもかんでも訴訟になって、 いつも正義を獲得していくのはね、 時間的にも金銭的にも余裕があって、
何回も控訴ができて、 腕利きの弁護士を高い報酬を払って自分のところに、 お抱えする人たちが皆、 正義を獲得していっちゃうんですよ。
私は、 そうなって日本の1億2千万は幸せになるとは思いません。
「清く正しく…」
「清く正しく美しく」 ってのは怖いことなんですよ。 清く正しく美しくでは経済は繁栄しません。
経済とか商売というのは惨たらしいものなんですよ。 基本的にはね、 騙し合いなんですよ。
日本の大企業でも大商社でも世界的な大企業なんて自分が戦争の時に儲かってたりなんかするわけですよ。
賄賂ばっかりして……。
皆さん江戸時代の歴史を調べてみてください。
江戸時代、 「綱紀粛正」 「政治浄化」 が声高に叫ばれた寛政年間とか享保年間ってね、 庶民は苦しんだんです。
金が天下にまわらなくなっちゃった……。 袖の下、 汚職、 談合なんでもありの文化文政、 元禄年間ってのは、 金は天下にまわって、
庶民はウハウハ……。 経済ってそういうとこがあるんですよ。
今の不況ってのはね、 構造的な不況もありますがね、 マスコミが創り出した不況もあるんですよ。
皆の財布の紐を硬くしちゃって、 大変だ大変だって……。 日本人は心配症なんですよ。
国際化・グローバル化の時代に皆さんも世界に目を向けてなきゃいけない……私は、 そういう時代っていうのはよくないと思う。
要領のいい奴だとか、 ノウハウ持ってるだとか、 シンクタンクだとか色々なことが出来る人たちだけが、 いい目を見るっていうのは本当は良くない。
そういう時代になると日本人っていうのは、 得する人と、 そうでない人ではうんと差が出てくる。
情報公開とかなんとかいいますが、 知らぬが仏っていうこともあるんです。 そんなことに力を裂くよりも、 他のことに力を裂いた方が、
日本はもっと幸せになれる。
alles gute! (アレス グーテ!)
箱根・富士方面 鐘山かねやま温泉 開催日 平成15年4月20日 (日) ・21日 (月) (ホテルの庭が自慢です) |
平成15年4月4日 (金) 開催
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